港総合事務所通信

トヨタ生産管理システム投稿者:山沢滋
投稿日:2007年2月16日
先日、機会あってトヨタ工場の見学にいってきました。
非常に学んだことも多かったため、ここに書いてみたいと思います。
まず、前提としてトヨタの生産管理方式の主たる手法を記載してみます。
(1)カンバン方式
ご存知カンバン方式ですが、私は単に後工程において使用された部品等のラックについているカンバンを前工程に発注書として廻し、リアルタイムでの部品が補充されているといった理解しかなかったのですが、本質的には後工程が前工程に必要量だけを適時に発注されてゆく方式であり、欠品をなくし、在庫を極小化するといったこととなります。(私の理解だと必要量が発注というより、単に無くなったものが発注されるだけといったことだったのです。)

(2)自働化
通常は、自動化と書きますが、トヨタのそれはにんべんをつけた自働化となります。これは、機械を自動的に動かせるだけでなく、不良品を生産してしまう状況になったと同時に機械は自動的に止まるに制御させるといったものです。これは、トヨタが決して後工程に不良品を渡さないといったことを徹底させていることの概念でもあります(もちろん、資材や時間の無駄もあります)。

以下、この方式について気付いたことを書き下ろしてみたいと思います。
これはカンバン方式とも連動しており、必要最低限の材料しか前工程から廻されていないのに、その材料等に不良品があっては生産ラインが止まってしまうことになるため、不良品を生産しないということは不可欠になるからです。
尚、この自働化が行われれば、人は機械に張り付かずにすみ、止まった機械が出たらその機械のところに行って対処するだけでよくなり、一人当たりの生産効率も高くなります。
私が工場を見学した際においては、区分された生産ライン(1ライン上においては、車が載った当該ラインが動いて、メーター周りをつける人、次にシートをつける人、つぎにxxxをする人が作業を行うといったようになってます)が8本程度あるように見受けられ、なんとこの8本中3本がそのライン上の1箇所のトラブルでストップしてた瞬間までありました(ラインストップということはそのラインのトラブル箇所以外の人は手待ちになってしまうということです)。ここまで不効率な部分(手待ちの作業員をつくる)があっても不良品を後工程に廻さないといったことに徹していました。
尚、この手待ちの不効率さを考えると、キャノンのセル型生産方式(=個人が1台をほとんどすべて組み立てる。教育が大変であるが、1台を自分で組み上げてゆく楽しさがあり、飽きずに作業できるため、生産効率が高い)は、他のトラブルに巻き込まれないため、優れている方式だなと思いましたが、クルマは流石に部品数等多く、きっとこのセル型生産方式は適用できないのでしょうね・・。

(3)創意工夫
生産・組立等にかかわる全員がより効率的に良い製品をつくるための提案をすることが推奨されております。いわゆるカイゼンって奴です。トヨタの場合は、採用された場合、内容によって500円から20万円までの報奨金が支給されるそうです。ちょっと低いような気もしましたが、値段の高い低いに関係なく、個々人のモチベーションが上がるとのことでした。70年か80年か知りませんが、こういった年月カイゼンし続けた生産方式にただただ頭が下がります・・。現在の生産方式のみならず、こうしたことが浸透した会社文化はもっと価値あるものですね。

(4)ムダ・ムラの排除
ムダ・ムラの排除というのもトヨタ発なのでしょうか?ムダの排除は効率を上げるために当然のことです。しかし、今までムラの排除ってムダの排除に比較すると重要性がぐっと低いものと思っていました。しかし、このトヨタ工場を見学してムラの排除の重要性を痛感しました。ムラがないということは、不良品を絶対にださないこと仕組み、多品種でも画一化され安定的なルールやマニュアルが不可欠なんですね。

最後に、トヨタの創業者は豊田佐吉という方なのですが、この豊田はトヨダと読むそうです。
知らなかった・・・。これが一番勉強になった・・なんて言わないでくださいね・・笑



営業スタンス投稿者:山沢滋
投稿日:2007年1月15日
先週の金曜日、顧問先のお客様に資本政策について一杯飲みながら相談にのってくれ・・とのうれしいご提案を頂いたので早速一杯どこではない位飲んでしまいました。本来ならお客様にとってためになるためのものであり、そうであったとは思う(願う?)のですが、私にとって素晴らしい時間となってしまいました。それは、お客様の相談事項について一段落し雑談にかわってから、逆に「会計事務所に対し、記帳代行/税務申告、節税等の当たり前の業務以外何をもとめられるのか? どうであったらうれしいのか?」 といった点を尋ねさせて頂き、とっても有用な色々な助言(立場逆ですねー・・笑)を頂いたからです。その方が著名な経営者を多数輩出している有名企業出身なだけに、テクニカル的な営業手法まで助言頂いたのですが、その中でも特に「お客様と相向かいで座っている視点でなく、お客様の横に座って同じ方向をみている気持ちを常に心掛けることが重要で、以前の会社で営業をしていた際においてはいつもそれを意識して接していた」ということにとても感銘を受けました。お客様のために・・・、お客様の視点で・・・といったことは当然私どもの事務所においてもミーティングを含め指針として呈示してはおりますが、とてもありきたりのものであるため、日々あらゆる場面で具体的にお客様のために・・といった視点で行動をおこすには不十分であるとは認識していたのです。こうしたより具体的な視点で考えれば、同じ事をお伝えするにも随分と異なるお話ができると思われました。早速、ミーティングでこの事をみんなに伝え、変えていきたいと思います。
ちなみにこうした話は、私共の業界特有のものではなく、どの業界にも当てはまるものだと思いますので、更に付け加えさせて頂くと、この社長が前の会社で営業をしていた時に、こうして接したお客様からは値引きの話は一切なく、逆に担当がこの方ならいくらでもいいと言ってくれる社長もいっぱいいらっしゃったとのことでした。これを読んで頂いた方みんなに参考になってくれるといいなと思います(そんなこと当たり前じゃないか・・と思っているみなさん・・すみません)。

事業の価値は将来だけ・・投稿者:山沢滋
投稿日:2007年1月12日
昨日、ある中小企業の経営者の方に相談受けました。現状において自分の役員報酬がゼロで働いているが利益はほとんどないそうです。ここで一応黒字と考えてらっしゃるので、「自分を雇ったとしたら支払わなくてはならない報酬を引いた後の利益が本当の利益ですよ」と厳しいようですけど、事実を認識してもらうことから話を始めました。業績が不振で今後における業界動向を考えると自社の規模では客観的に考えるとこの状況は益々厳しくなるように思われるとのことでした。ただ、創業から20年も続き一時は隆盛を誇った時代もあり、業界での一定の知名度もあるため、事業を止めるにおいては踏み切れないとおっしゃっていました。M&Aの仲介をやっていた時も「過去こんなに苦労したのだから、非常に価値があるはず・・・」とのお話も何度もお聞きしたことがあります。しかしながら事業の価値は、過去がどうとかは実は全く関係なく、将来どうなるのかといった点のみで決まります。創業1年でポンと思いついたアイデアで軽い気持ちで立ち上げた事業が時代のニーズにマッチして急成長して今後の将来性が高ければその事業は極めて価値があるのです。その方には過去は振り返らず、今後事業継続した場合にどうなるのかに集中して考えて頂き、実質的に相当な赤字が継続すると思われるのなら、一人で仕事をなさるか、その方の良い部分も活かせる会社に所属なさるといったことを真摯に検討なさるべきではないかと申し上げました。(当然、駄目だと思ってすぐ撤退するといったことは必ずしも適切でなく、意思決定するのを引き延ばすことにより恵まれる新たな機会、アイデア又精神力等も重要ではありますが、今回の場合はこの状態が数年続いており、十分以上に時間をつかっておりましたので・・)
この方の場合は幸いにして勤めたり下請け等をした場合一定の報酬等を頂けるようでしたので、利益の出ている事業のみ残し、その報酬を受け取るようにすれば、劇的に収入は増える見込みなので、本当に良かったです。P.S.こうした相談は辛いものですね・・・。

中国ビジネス投稿者:山沢滋
投稿日:2004年10月8日
昨日、中国進出のセミナーに参加した。とても面白かったので、記憶の残った部分をまとめてみた。2時間位のものではあったが、中国のビジネス環境を結構感じさせてくれるものであった。現時点において中国への進出等は当面想定されていない会社の方が圧倒的に多いとは思うが、マクロ上多大に影響は受けるため、ある程度の情報は持っていた方が良いことは間違いないと思う。ちなみに講師の方は中国へ留学後、三菱銀行の上海支店?の立ち上げを5年行い独立された方でした。

(中国の状況)
・社会主義国家であるため、情報は政府(役所)に集中しており、情報公開、透明性は遅れている。この為、有望な土地(計画道路予定地、超一等地)の払い下げは、コネクションを有するものだけに廻されてゆく。こうした権益があるため、詐欺的な話も多い。
・中国の役人はコネと実績の両方があって初めて出世できる(日本は学歴等でレールが轢かれているのとは異なる)。よって、役人自体がアグレッシブな姿勢をもっている。
・役人自体がアグレッシブであるが故、地方においては、違法なことを役人の独断の裁量で認めたりする。これは良い面でもあるが、この役人が移動になった場合は通用しなくなるため、問題も有する。
・権力が政府(役所)に集中しているため、汚職もあるが、日本人は絶対にこうした行為はすべきではない。
・政府、国営企業の権益(取引、払下等)は、政府(役所)への権力集中/情報未公開/不透明を背景に相当程度あり、これにアクセスできる者とできない者との貧富の格差を生んでいる。

(国民性)
・利用された(場合によっては騙された)者が悪いといった考え方もあるため、契約により詳細に定めておくべき。
・日本人だから利用するといったことはなく、隙がある者が利用されるといったことである。
・従業員が集団脱走して、別会社を作ったりすることもある。こうしたことから、製造工程を細かく分けて、一部の者だけで全工程をこなせないようにする等の工夫をしている会社もある。

(ビジネス)
・情報公開、透明性、法的不完全性を有するが、これら改善は確実に進んでいる。これらが不完全であるが故にこれに対処出来たことが差別化となりリターンを享受できる。これらが、改善された時点ではビジネスチャンスがなくっているのではないかと思われる。
・環境変化が著しい為、意思決定システムが相当素早いものとしていないと適応できない。(重要な意思決定に半年以上要するようでは対応できない)
・手形はあるが、不渡りによる倒産といった制度はない。支払いがルーズであるが、現地の弁護士によりレター等を出させると対応が全く異なる。
・会社の設立費用(登記のみ)の最低は50万円程度。ただ、様々な考慮要点があるため、それらのリサーチ及びコンサルティングも含めると2百万円から5百万円程度の費用がかかる。

(経営)
・社長は、自分の会社といった心構えでないと中国人を引っ張ってゆけない。よって、何らかのインセンティブを付す必要がある。また、人材的にも中国語に関する語学力ではなく、魅力的(人間性orノウハウ等)な人物を社長として送り込まないと中国人を引っ張ってゆけない(ノウハウor人材的に魅力的であれば、給料は多少安くても人材は残る)。優秀な人材は中国でも少数であるため、日本の優秀な人材を送り込んだ方が良い。優秀な人材がいない場合は、社長自ら乗り込むことも場合によっては必要である。

(雑談)
・飲食店で内装等投資を行い、2年後やっと赤字を脱却したが家賃を倍にされ又赤字となってしまった。
・どこにも規定はされていないが指定業者のスプリンクラーを取り付けてないと消防署(局?)の許認可を取れない。
・天ぷら屋を出店したが、環境保護局の指定業者に使用済油を引き取らさせなければならなく、予想外の多額な支出が発生した。

うーん、とても面白そうな国ですね。是非、一度機会があれば仕事も含め縁を持ちたいものです。

事業規模と組織(その2)-小さくても組織を作ろう投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日

「少人数だと組織もへったくれもあったもんじゃない」なんておっしゃる方もいらっしゃいます。確かに一理あるかもしれませんが、組織として考えることはとても重要な事でしょう。
仮に従業員一人で社長一人の会社としても、大会社と同じで営業、技術、経理/財務、総務等の仕事は当然あるわけなので、組織図をこれら業務内容を意識して作成してみる。社長を頭に、経営企画、営業部、技術部、経理/財務部等々・・。
それに誰がそれを管理し(作業じゃないです。作業は協力しあっても良いのですから・・)責任を取るのか明確にする。今は、規模が小さいからたまたま兼務してる部署が多いだけだと・・・。そして、従業員等の増加にともなって、兼務を解消してゆく。
これを作成し、社内にこれを周知することにより、各人は今、何を行うべきかといったことが明確になり、社内間の利害調整もより明確に行えることになります。

極少人数の時は、当然多くの部署を兼務しますので、発言する場合及びそれを聞く場合に、人格?の切り替えなんて、きちんと行えるわけもないのですが、意識しつづけることで、前述の効果は多かれ少なかれ発揮してゆきます。何より、成長過程において、スムースに人員配置を行え、組織をつくり上げてゆくことが出来ます。

どうでしょうか? 組織図? 作成してみませんか?


事業規模と組織 (1)投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日
規模による組織構築の必要性


昨今、会計事務所業界が成熟産業ということで、経営に危機感が漂っており、会計事務所へのコンサルティングを業とする方々も増えているんで、早速行って来ました。まー、色々な話があったのですが、その中の一つとして「まず、事業規模を6人未満の組織にするのか、20人以上にするのかまず決めて下さい。その間(7-19人)の事務所は淘汰されます。」と盛んに言ってられました。
確かに会計事務所に限らず、6人当たり迄で一度成長が止まっている会社は多いのです。
これを自分なりに解釈しなおすとこういうことではないのかなと思いました。
社長がシステム的に会社の状況を把握し管理するのでなく、直接見て聞いて感じて従業員、顧客の状況を把握し指示・教育できる限界が6人程度で、これを超えた場合においては、従業員のタイムシートやマニュアル等による標準化等が必要になる。しかし、こうしたシステム的に管理する場合においてその維持管理は凄いコストがかかってしまう・・。このコストが吸収できるのが20人ってことなのかな・・と。

こうした事を意識しておけば、将来計画もこれらの人数を考慮して組まれたり、7-19人の時期を以下に乗り切るかといったことも大事なんだなと痛感します。



販売単価の検討投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日

先日、あるパッケージソフトの会社を評価するために、その会社に行って会社の戦略等を聞いた際に感心したことがありました。
その会社は相当数の商品を有しているのですが、販売価格を1/5から1/7程度迄殆どの商品を値下げした結果、非常に利益が増えたそうです。
販売量というものは富士山を輪切りにするようなもので、高いところ(高価格)できれば若干しかうれないが、裾野が広いのなら低いところ(低価格)で切れば売上数量は通常の創造を超えることがあり得るそうです。もちろん、いきなり無謀にこんな大胆な値下げをした訳ではなく、どの値段だったら買うのかといったようなマーケットリサーチを十分行った上で行ったそうです(しかし、それ以上の売上だったそうです)。

ちなみに、この話はみそがあって、売上直接原価率が著しく低くないと、いくら売上が(仮に)30%上がっても、売上原価が5倍になると売上総利益ではマイナスになるのは当然です。

極めて直接原価率の低い商品を扱っている場合、その開発費、宣伝費を回収するためにはxx円で売らないとダメと決め付けるのではなく、常識はずれの価格設定での戦略も一計の余地はあると思います。

借入金と資本金の比率投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日

借入金と自己資本(純資産金額ともいいますよね。資産-負債のことです。)についてどのような比率で企業が調達すると企業価値が高まる(株主によって良いかって意味です)のかといったことは欧米を中心にコーポレートファイナンス理論の一部で相当研究されています。結論を言ってしまうと数値として算出する方法がなく、実際の調達比率が借入金:自己資本の割合が6:4〜7:3が多いため、この位だろうと言われています。

参考までに税金を考えると借入金を増やせば増やすほど支払利息で税金が減る為、企業価値が高まる反面、借入金の比率をアップさせればさせるほど金利が高くなり企業価値を下げる効果が出てくる、また、借入金の比率を低くすればするほど、資金繰り等が楽になり、経営上のミスをしても倒産する確率も低くなるため、経営者が緩慢な経営をしてしまうため、企業価値を下げるといった効果(エージェンシー効果)があるそうです。

あまり役に立たない話だったと思いますが、重要なのは理論上の最適値が求められないってことなのでしょうか・・・。

借入の実効性投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日

借入の返済可能性が重要!!!

ここ3ヶ月に渡り、ある3セク(ある地域の電気を供給する会社です)の今後50年にわたる最適な設備投資計画の選定にかかわる仕事をさせて頂きました。基本的にはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法といった将来のキャッシュフローを最大化する案を選定することになります。その実行性がないといけないので、貸借対照表もシミュレーションしてもらい、投資により不足する資金が本当に借入可能なのかどうかといったコメントを求められました。こうしたノウハウは・・・なので、早速銀行の知り合いの方何人かに電話してご教授してもらったのです。こうした設備投資用借入金の場合において基本的にはケースバイケースとのことですが、特別な保証/担保がない場合、
(1)借入金の返済期間において営業キャッシュフロー(≒税引後利益+償却費+運転資本増減)にて返済額をカバーできるのか(要は資金ショートしないのか・・設備投資を行った以上基本的にはキャッシュフロ−は大きくプラスとなっている=設備投資分をきちんと回収されているといったことです)
(2)当然、企業としての永続性もポイントとなりますので、運転資本の減少で営業キャッシュフローがプラスになるのでは意味がありません。利益が基本的にプラスであることも重要な考慮点となります。

ここで、ポイントは将来における営業キャッシュフローをシミュレーションする場合、会社の計画だけではなく、より保守的に見積もり実現性が高いケースと最悪のケースもシミュレーションして検討するとのことでした。

ブランドって投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日

ブランドというとルイヴィトン、グッチ、ソニーといった高級感あるプレミアム名称のことを定義した言葉と理解していたのですが、昨今のユニクロ、マクドナルド、吉野家?もブランドネームと考えると、この定義は間違っていたようです。

例えば、ある街に有名ではないが、マクドナルド以上には美味しくサービスも良いお店があったとします。あなたがこの見知らぬ街に行って、ハンバーガーを食べたいと思った時、この店とマクドナルドがあった時、多くの方はマクドナルドにきっと?入るのでしょう。なぜ、マクドナルドに入るのか? これは、きっとマクドナルドに行けば、あの笑顔であの味のハンバーガーを食べられるのが保証されているからです。もし、横の見知らぬ店に入ったら、とても美味しいハンバーガーを食べられるかもしれないが、とんでもなくまずくて高いハンバーガーを食べさせられ、無愛想な店員がいるかもしれない・・。そんなリスクは普通犯したくない・・。こういったことなのでしょう。
このマクドナルドといったブランドは、どの店にいっても「商品・サービスが安定的」であるといったものなのです。これは、ユニクロについても当てはまるのでしょう。

ブランドを確立するといったことは、社員教育、マニュアル、社風を周知徹底し、サービス・商品を安定化させることから始まるのではないかと思います。
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「月給制」と「日給月給制」の違い投稿者:山沢滋
投稿日:2004年4月9日



                      就業規則作成の注意点


 賃金の支払い形態は色々なものがあるが、正規従業員の場合は「月給制」もしくは「日給月給制」が適用されている場合が多い。北見事務所は「幹部を含めた全正規従業員に対して日給月給制を適用しよう」とお勧めしている。そこで「月給制」と「日給月給制」の違いを事例を挙げながら説明しよう。



 (例えば、こんな病弱な従業員がいたとするー)

 会社は4月に高卒の女性事務員のA子(18歳)さんを雇用した。だが、A子さんは健康状態が芳しくなく、雇ってみると病欠ばかりだった。4月から7月までは勤務していたが、8月から出社して来なくなった。会社はA子さん宅に電話をして様子を聞くのだが、A子さんの母親が電話に出てきて「もう少し待って下さい」と言うだけ。そんな状況のままで12月末になってしまった。会社は、A子さんの扱いに困った。いつまでもアテにならない人物を待っている訳にもいかないので、替わりの人を採用して補充する必要があるが、A子さんがカンバックすることも考えられるので、それでもできなかった。



 (月給制の会社では、欠勤中でも賃金が全額出てしまう)

 B社は「月給制の会社」である。「月給制」とは就労時間に関係なく月額で払うことが決まっている形態である。

B社の賃金規程は「賃金は月給制とし、その賃金計算期間は前月21日から当月20日までとする。ただし、その間に入社、退社した者は、その賃金を日割りカットする」となっているだけで、欠勤した時にも賃金を日割りカットするという規定がない。

また就業規則の中で「休職」に関しては「業務外の傷病により欠勤が引き続き3カ月間を超えた時は休職とする。休職期間は2年間とする」となっている。そして賃金規程を見ると「休職期間は賃金を支給しない」となっている。

 このB社の就業規則では、A子さんに対する扱いは以下のようになる。



 平成15年8月1日から欠勤状態(ここから3カ月間賃金を全額支払う)

 平成15年11月1日から休職期間スタート(ここから2年間社会保険料を払う。賃金はなし)

 平成17年11月1日で休職期間満了(退職へ)



 (日給月給制の会社では、欠勤中なら賃金が出ない)

 C社は「日給月給制の会社」である。「日給月給制」とは、月額で決まっているが、欠勤したら日割りカットする形態である。

C社の賃金規程は「賃金は日給月給制とし、その賃金計算期間は前月21日から当月20日までとする。欠勤した者は20日分の1日の割合で欠勤カットする」となっている。

また就業規則の中で「休職」に関しては「業務外の傷病により欠勤が引き続き1カ月間を超えた時は休職とする。休職期間は勤務年数1年未満の場合1ヶ月、同5年未満の場合3ヶ月、同10年未満の場合6ヶ月、同1年以上の場合1年間とする」となっている。そして賃金規程を見ると「休職期間は賃金を支給しない」となっている。

 このB社の就業規則では、A子さんに対する扱いは以下のようになる。



 平成15年8月1日から欠勤状態(ここから無給となる。社会保険料あり)

 平成15年9月1日から休職期間スタート(無給。1ヶ月間のみ社会保険料がある)

 平成15年10月1日で休職期間満了(退職へ)



 (大手の真似をして就業規則を作らないこと)

 前述の事例でわかる通り、中小企業の場合は「日給月給制」の方が会社にとって得に決まっている。「月給制」では、休んでも欠勤カットが行われないのだから、健康保険の傷病手当金、労災保険の休業補償給付も受けられなくなる。せっかく高い保険料を払いながら、なぜもらえる給付をもらわないのか? 

大手企業は自社直営の健康保険組合を持っているので、従業員が休んだ時に、健康保険から傷病手当金を出すのも、会社から賃金を払うのも、出所が同じことである。中小企業の場合は、政府管掌の健康保険もしくは業界の健康保険組合だから傷病手当金をもらわないのは損である。

 それにもかかわらず中小企業においても月給制の会社が沢山あるのは、何故だろうか? それは大手企業の就業規則をモデルにして自社の就業規則を整備した経緯があるからだ。大手企業の就業規則は、一般的に月給制が多いので、その就業規則を安直にそのままコピーしたのである。

 大手の真似は禁物である。